Software Optimization

ARMアセンブリによるC++パフォーマンス最適化

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C++コードをARMアセンブリに変換することで、特定の計算集約的なタスクのパフォーマンスを大幅に向上させることができます。アプリケーション全体をアセンブリで書き直すことは一般的に非現実的ですが、パフォーマンスがクリティカルなセクションに戦略的にアセンブリコードを組み込むことで、大幅な高速化を実現できます。このガイドでは、実際性とベストプラクティスに焦点を当てて、これを実現するための様々な手法を探ります。

目次

GCCによるARMアセンブリの生成

GNU Compiler Collection (GCC)は、堅牢なクロスコンパイル機能を提供します。C++ソースからARMアセンブリコードを生成するには、適切なARMクロスコンパイラと共に-Sフラグを使用します。最適化レベルは生成されるアセンブリに大きく影響します。より高いレベル(例:-O2-O3)では、より複雑になりますが、潜在的に高速なコードになることが多いです。

arm-linux-gnueabi-gcc -S -O2 myprogram.cpp -o myprogram.s

arm-linux-gnueabi-gccをターゲットアーキテクチャに適切なクロスコンパイラ(例:64ビットARMの場合はaarch64-linux-gnu-gcc)に置き換えることを忘れないでください。出力ファイルmyprogram.sには、等価なARMアセンブリ命令が含まれます。

外部アセンブリ関数の使用

より複雑なアセンブリルーチンでは、別々のアセンブリファイル(通常は.s拡張子)を作成する方がクリーンです。これにより、より良い組織化と再利用が可能になります。アセンブリで実装された剰余演算関数の例を以下に示します。


// C++コード (main.cpp)
#include <iostream>
extern "C" int mod_asm(int a, int b);

int main() {
  int result = mod_asm(10, 3);
  std::cout << "Result: " << result << std::endl;
  return 0;
}

// アセンブリコード (mod_asm.s)
.global mod_asm
mod_asm:
  udiv  r0, r0, r1    @ a (r0) を b (r1) で除算
  mls   r0, r1, r0, r0 @ r1 と商 (r0) を掛け算し、a (r0) から減算 - これにより剰余が得られる
  bx    lr             @ 戻り値

コンパイルとリンクには、次の別々の手順が必要です。


arm-linux-gnueabi-gcc -c mod_asm.s -o mod_asm.o
arm-linux-gnueabi-gcc main.cpp mod_asm.o -o myprogram

armclangによるARMアセンブリの生成

ARMコンパイラのarmclangは、GCCの代替手段を提供します。その使い方は似ており、アセンブリ生成には-Sフラグを使用します。


armclang -S -O2 myprogram.cpp -o myprogram.s

armclangは、GCCと比較して異なるアセンブリコードを生成することが多く、最適化の効果も異なる場合があります。特定のニーズに対してどのコンパイラがより良い結果をもたらすかを判断するには、実験が必要になる場合があります。

インラインアセンブリ(注意事項付き)

コンパイラ固有のキーワード(例:GCC/Clangでは__asm)を使用するインラインアセンブリにより、C++コードに短いアセンブリスニペットを直接埋め込むことができます。ただし、このアプローチは移植性がはるかに低く、エラーが発生しやすいです。一般的に、移植性が大きな懸念事項ではない非常に小さく、高度に最適化されたセクションにのみ限定するのが最善です。構文はコンパイラに依存するため、コンパイラのドキュメントを注意深く参照する必要があります。

C++からARMアセンブリへの変換に関するベストプラクティス

C++をARMアセンブリに変換する際には、次のベストプラクティスを考慮してください。

  • 最初にプロファイルする:最適化する前に、パフォーマンスのボトルネックを特定します。遅い部分がどこにあるかを推測しないでください。プロファイリングツールを使用してください。
  • 小さく始める:コードの小さく重要なセクションから始めます。増分的な変更は、管理とデバッグが容易です。
  • 徹底的にテストする:正確さとパフォーマンス向上を確保するために、厳格なテストが不可欠です。
  • 保守性:アセンブリコードの可読性と保守性を優先します。コメントを自由に使用してください。
  • アーキテクチャを理解する:効果的なアセンブリプログラミングには、ARMアーキテクチャ(レジスタ、命令セット、メモリモデル)の確実な理解が不可欠です。

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